有限会社 フジ化学
 TOP  会社概要  工場設備案内  ISO  PR  社長のつぶやき  ギャラリー 環境活動コンテスト │ News  リンク 

■社長のつぶやき■

代表取締役 遠藤一秀当社は、高度成長期に電気亜鉛メッキ業を主体に創業、約40年にわたり金属表面処理の分野一筋に打ち込み、その納期短縮と低コストの技術力には、大きな信頼を寄せている。当社の立地は、富士山を北に仰ぎ駿河湾を南に望む富士市の北東部、水資源の豊かな地域であり、県下有数の工業地帯の下、自動車部品・ガス機器部品・一般機械部品等の製造業が発達し、当社が表面処理分野で確かな地歩を築くもととなっている。加えて、取引先各社から委託される仕事を選り好みせず取り組んできたため、バブル崩壊後の長期低迷化でも、着実に業績を伸ばしている。当社が位置する富士市は昭和40年代、ヘドロ騒ぎに象徴される公害問題で全国的に注目されたところであり、記憶している方も多いと思うが、そのため、当社は早くから排水処理や汚泥処理に意を尽くしてきた実績を持つ。今また、酸性雨や発癌性物質が世
界的に問題視される中、当社は環境にやさしいエコ・コート(環境皮膜)を商標化すべく、新たな技術進化を遂げようとしている。というのは、金属の防錆用としてこれまで長く使われてきた、表面処理剤中の6価クロムに対し、土壌や地下水の汚染物質となるだけでなく、場合によりアレルギーや発ガンの誘起物質となる恐れが指摘されるようになってきたからである。当社は、品質改善はまず工程見直しからの考えのもと、同業他社に先駆けて6価クロムフリーの3価クロメート型全自動亜鉛メッキ装置を主体とする最新式ラインを導入したほか、すべての付帯設備を3価クロメート用の規格と構成に更新することで、本体ラインだけでなく附帯設備の各面においても6価クロムフリー対応への充実度を向上させた。世界的に6価クロム規制が強化される趨勢にあるが、環境保護を技術力アップの原動力とする、当社の取り組みには、今後の企業のあり方の一つが示されている。
 通常、亜鉛メッキは単独で施されることはなく、必ずクロメート処理という、耐食性付与の工程が随伴する。亜鉛メッキには、鉄素材に対して自己犠牲反応を働かせ、亜鉛自らが溶解し鉄の腐食を抑制する作用がある。これが亜鉛の防食性であるが、難点は、亜鉛メッキの表面には比較的短時間で白錆が発生するということである。これを防止するため、亜鉛メッキ後に各種のクロメート処理が行われているが、このクロメート皮膜中に含まれるのが6価クロムである。皮膜中の6価クロム含有量が高いほど、耐食性が優れているわけだが、反面、人体や環境への悪影響が10年ほど前から指摘されるようになり、すでに欧米の自動車メーカーでは全廃へ向けた規制に乗り出したところも少なくない。そのため、3価クロムによるクロメート処理、有機被膜によるコーティング、モリブデン−リン酸塩処理などの代替技術が模索されているが、いずれも6価クロムによる方法に比べ、耐食性が低い、高コスト、操作性が悪いといった欠点があり、まだ一般化するに至っていない。こんな中、当社では6価クロムフリー技術による品質基準で世界的なレベルをめざすため、3価クロムによる処理開発に着手した。設備を最新式の全自動亜鉛メッキ装置に更新したのも、業務と開発の並行処理に必要とされる、それぞれ精密な液温管理、溶液濃度管理、浸漬時間管理、コンベア管理等を遺漏なく行うためである。
 しかし、仏作って魂入れずの言葉もあるように、どんなに装置を最新化しても、それを使う人の心により良きモノ作りの気持ちが込められていなければ、思ったように不良は減らないし、環境によい製品の生産には結びつかないものである。そこで当社では、作業環境を清潔に保てないような職場から環境にやさしい製品なぞ生み出せるはずがないの信念のもと、社員全員で5S活動に取り組んでいる。特に清掃面に関しては、作業の合間々々での片付けと掃除の励行が功を奏し、設備は常に新品同様のキレイさで、その前後の作業スペースも清潔な快適環境が維持されている。そこには、第二次産業の中で3K職場の代表格のごとく目されていた、従来のメッキ工場の面影はなく、隈なく見回しても3Kの断片さえ見当たらない。おそらくこの工場に限って見れば、3Kという言葉は死語と言っていいだろう。いつも磨き上げられている設備装置や、きちんと整理整頓されている道具類に、社員の間に根付いている5S精神の反映を感じ取ることができる。また、このような生産現場だからこそ、製品の品質へも並々ならぬ思い入れが行き届いていると納得させるものがある。
 さらに、当社を代表するもう一つの新しい技術成果が、均一電着性の達成である。これまでの亜鉛メッキでは製品表面に均一な膜厚を得ることが困難で、同一製品の表面中でも、3ミクロンの薄いところから12〜15ミクロンの厚いところまで生じるなど、膜厚の分布にはバラツキが多かったようである。それが、当社が新しく採用した均一タイプの装置では、この膜厚のバラツキがほぼ克服され、現在では、5〜8ミクロンの範囲内のタイプから、10ミクロン程度までのタイプの、安定した均一被膜を組成できるようになっている。
 ところで、当社の社会的取り組みでもう一つ特筆されるのが、障害者雇用の分野である。当社の社員約30人のうち三分の二は障害者社員で占められ、彼らは明るい職場雰囲気の中で生き生きと業務に従事している。メッキ装置がいくら全自動化されたといっても、メッキ対象部品を治具(ハンガー)にハンギングする作業、処理を終えた部品を治具から外す作業、さらには検査済みの部品を梱包する作業などはほとんどが人手頼りである。障害者社員はこの作業分野で、いまや欠かせない存在となっている。当社でも当初、これらの仕事は健常者が主体を占めていたわけだが、結局、地道に且つひたむきに根気強くこれらの仕事をこなす障害者が主軸を担うようになった。今では、健常者は障害者が担当する作業工程の前後や周辺で、入出庫管理、検品納入準備、配送等といった業務を受け持っている状況で、主役は障害者、健常者はそのアシスタント的役割といっても過言ではないようである。当社においては、かつて障害者雇用に付きまとった一種の暗さのようなものは微塵も感じられず、障害者でも、窺がえる能力、適正等を含めたその人なりに見合った業務を用意すれば、健常者に勝るとも劣らない仕事振りを発揮することをつぶさに見て取ることができる。さらに当社では、待遇面でも障害者の頑張りにこたえるため、最低賃金制の遵守はもちろん社会保険加入や福利厚生面でも健常者との垣根は一切設けず、障害者が安心して長期就労できる態勢を整えている。加工技術面だけでなく、多面的な雇用形態という点でも、当社はコーポレイト・アイデンティティの確立を図る営為を重ねているわけである。
日刊工業新聞掲載資料より

■日々の積み重ねが成長の源■

 当社は、創業から今年で丁度30年となる、電気亜鉛メッキを主体とする金属表面処理会社であります。富士山を北に仰ぎ駿河湾を南に望む富士市の北西部、水資源の豊富な地域に立地し、県下有数の工業地帯の中で、自動車部品・ガス機器部品・一般機械部品の表面処理の分野で確かな地歩を築くべく営々と業務に励んでおります。取引先会社から委託される仕事を選り好みせず積極的に取り組んできた所為化、お陰さまで、バブル崩壊後の景気停滞化の昨今でも僅かながらですが業績は伸びております。
 従業員数は現在20名、うち障害者15名、健常者5名で、4人中3人が障害者で構成されています。障害者が従事する主な仕事は、メッキする部品の治具(ハンガー)への吊り作業、部品を吊り終えた治具をメッキ装置の槽内へ投入するためコンベアに架ける作業、処理を終えた装置から出てきた治具を外しメッキされた部品を回収する作業、更に、メッキされた部品を仕分け梱包する作業等と、まさに当社業務の本髄をなす部分であります。当初これらの仕事は健常者が主体を占めていたわけですが、地味な内容のため一通り習熟しないうちに飽きてしまったり、また慣れてくると几帳面さや丁寧さを疎かにする傾向が現れてきたりで、結局、地道に且つひたむきに根気強くこれらの仕事をこなす障害者が主軸を背負うようになった次第です。
 今では、健常者は障害者が担当する主互程の前後や周辺で、入出庫管理、検品納入準備、配送等と云った仕事を受け持っている状況で、主役は障害者、健常者はそのアシスタント的役割といっても過言ではないくらいです。
 このように障害者であっても(高齢者の場合も同様であろうと思われますが)、窺える能力、適正等を含めたその人なりに見合った業務を用意すれば、同じ業務においても健常者に勝るとも劣らない仕事振りを発揮するものです。私共はこのことを具さに見て参りました。要は、当人に合った仕事を如何に見出してあげられるか、また、そのような仕事をスムーズに用意してあげられるかにかかっていると思います。ただ、ここまで到ると経済的な引き合いの問題が俎上にのぼってきますので、障害者の雇用をすすめておられる各社も同様かと推察致しますが、一社だけの努力では如何ともし難い限界が厳然と存在します。
 企業体である以上、利益を生み出すことが至上命題でありますので、経済上大きなゆとりがあって障害者雇用の趣旨の実現の寄与をしている稀少な法人を除けば、大多数の事業所は、コストの観点を充分弁えたうえで当該事業所においての障害者の適職を用意しているのが偽らざるところではないでしょうか。
 本当は、学校教育の場において障害児と健常児を普通学級で一緒に生活さすことの教育的、ひいては社会的意義が言及されるように、健常者同僚を人件費等の論点抜きに迎えることが理想であり、それでこそ人格をもった法人として事業活動だけではない社会的役割をも果たしたことになるのでしょうが…。
 この点に関しては、障害者雇用に伴う援助者の配置等のコスト増を、社会的費用として認めるより深いコンセンサスが、法人を含めた社会全体の構成員間で確立する迄は、現行の国や地方自治体等による助成金制度の拡充・充実も負担の公正確保のため未だ暫くの間止むを得ないものと思われます。
 実は現在当社では障害者社員の通勤対策に心を砕いており、近々マイクロバスによる朝夕の送迎の開始を予定、また送迎では困難な遠距離からの就職希望者に対する借上寮の増設等を検討しているところです。
「福祉の案内」(平成9年刊 日本障害者福祉協会版)より